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戻って来た村は滅んだ時と変わっていなかった。
村の広場は永遠に干からびることのない血塗れの死体があちらこちらと転がっていた。
あの時と変わらぬ光景、見ているだけで吐き気をもよおす。
「・・・呪いの故か、契約の故か……」
ルキフェルは頬に残る乾ききっていない最後の涙を拭い、右手を前に突き出した。
「俺は契約する……」
契約、ルキフェルの暮らしていた村の〝象徴〟であり〝力〟であった。
が、正直ルキフェルには自分合わせ村人達が持つ〝力〟についてあまり詳しくは知らない。
ただ、生活に必要なものだということしかわからない。
例えば、「灯」と言う名前がつく【火】と契約すると何もない空間に火の玉を呼び出し明かりが欲しいと思う所を照らしたりする。
この類いの生活契約は契約内容が達成されると共に自動的に消滅する。
「俺に復讐と言う破壊の力を与えたまえっ!!」
村長の家庫から見つけた禁書に書かれていたとても古く、そして未知の契約。
広場に広がる血溜まりの赤い水面が風もないのにさざ波を作った、かと思うと轟音と共に紅色の水柱をあげて宙に舞いルキフェルに降り注ぐ。
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