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きらやかなドレスを身に纏い、花が似合う華奢で美しい少女。
お伽噺に出てくるお姫様はたいていそうだ。その上性格まで美人。現実にこんなパーフェクトガールがいるはずがない、と思いながらも憧れてしまうのはどうしてなんだろう。
物が散乱した机の上をぼんやりと眺めながら私は思考にふけっていた。なぜこんなことを考えているかというと、延ばしに延ばした整理整頓を実行して袋詰めの造花が出てきたのが原因だ。
私は『女の子らしさ』を持ち合わせていない女の子だ。物心がついたときには口より手が先に出るようになっていた。細かいことは苦手で、とりあえず行動すれば後は運次第という、楽観的すぎる生き方をしてきたと思う。誉められるときは決まって『カッコイイ』。
でも、それでも、可愛いものに対する憧れっていうか、フリルやリボンが似合ったらなと思うことがある。決して外には出さないけれど。
袋詰めの造花はその象徴だ。押し込めて隠した私の切れ端。今さら見せられない部分。
はぁー、とため息をつく。どうして素直じゃないんだろ。
白色の花をひとつ、つまみ上げた。ちょっとの間眺めて、机の端に置いた。
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