May 20th

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「桜が…綺麗になってきたね」 窓の外を見つめて 少女はぬいぐるみのくまに どこか寂しげに笑いかける。 ここは入院患者の とある一室。 16年前からこの病棟で 入退院を繰り返している 赤砂 桜(せき さくら)は 5月の陽気によく反射する 病室の壁を睨み付けるように 眩しさに目を細めていた。 桜は先天性の病で生まれつき 臓器の機能が著しく低い。 そのため、今まで 学校に通うことや 同世代とはしゃぐこと、 大声をだしたり走り回ったり そんな普通なことを したことがなかった。 .
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