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店内はそう広くない。
カウンター席が4つに4人掛けテーブルが2つ。
テレビからは甲子園の映像が流れている。
店に入った私は、カウンターへと腰掛けた。
そこで、カウンターが満席となった。
すぐに店主が水を出してくれ、それを一気に飲み干し、もう一杯頂いた。
財布の中には1600円しか入っておらず、仕方なく500円のラーメンを頼んだ。
店主は見た目、背が高く細身だが頑固一徹って感じ。
「はい、ラーメンねっ!」
店主は低い声でそう言い私の前にラーメンを置いた。
「それにしても見ない顔だな。
おっと、その前にその格好はなんだ?」
店主は私に話し掛けた。
まぁ、格好を聞かれるのも無理はない。
本日はパンダの被り物を被り、全身白と黒のボーダー柄だ。
そう、私は変装?コスプレ?マニアなのだ。
各地を色々な格好で放浪するのが大好き。
「あっ、今日はパンダで決めてみました。
私、所持金5000円で何処までいけるかって一人で楽しんでまして…」
私はラーメンを箸で持ち上げ、フーフーと冷ましながら話した。
「ほぉ~、そうか。なかなか面白い事をやってるもんだ。
まぁ、ゆっくりしてきな。」
ここへ来て初めて店主の笑顔を見た。
「ありがとうございます。」
そう返し、私はラーメンをズルズルと啜った。
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