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薄い雲が月夜に浮かんでいる。
月の淡い光は、森へ木々の葉の隙間から細く差し込み、土の道を縁取る。
森の闇は静けさと不気味さを内包する。その闇に吸い込まれていく荒い息遣いが一つ。
宵闇に浮かぶ細い木々の影が小さく揺れ、葉が不気味に鳴いた。
森の闇を貫く一本の広い道。それを一人の少女が駆ける。土を蹴る少女の顔はまだ幼さが残る。
少女は、城から街へ散歩に出た若い姫のような出で立ちをしていた。しかし、その表情は苛立たしげな焦燥感をはらんでいる。
革の紐ブーツが土を蹴り、その度にチェック柄の赤いスカートが忙しなく(せわしなく)揺れる。
中世を思わせるデザインの柔らかい印象のある長袖の服。
その上に羽織った外套が暗闇を流れる。
服から出る四肢は木の枝のように細く、闇の中でも目立つほど白い肌だ。
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