天耶の日常

11/14
前へ
/48ページ
次へ
「羽ばたけ味噌煮込み唐揚げ素麺!」 叫んだ。腕をあげて、叫んだ。 千草は立ち上がり教師を見つめる。 「廊下に立ってきます。」 ルンルンと音が聞こえる気がする。それほどに千草は横に揺れている。 「行かなくていい、椅子に座り授業を始める。」 あまりにも残念そうな千草の顔。 トトトトトトト!! シャーペンの芯が机の上で粉になって現れる。千草の震えが止まらない。 教室には音が止まらない。 「あぁがぁぁぁ!」 三井忠之が叫んだ。くそまじめに七三に分けられた髪と牛乳瓶と見間違えてしまうほどの眼鏡を掛けたくそまじめな三井 が叫んだ。 鼻くそが付いている。 教師は叫んだことよりも、三井に付いた鼻くそが気になって笑いを堪えている。 「ブヒッ!」 教師の新島恋太郎は黒板に向かい、授業をしようとする。 無意識。 黒板には廊下で立っていなさいと書かれている。 「立っています。」 千草の顔は笑顔で総崩れしている。むしろ顔ですらなくなっている。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加