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でも、この人は……マミさんはいい人だ。きっと私の気持ちをわかってくれるはず。
「……実は――」
――30分後
「……虐待、ね」
コクンっと頷く。
「それで、あすみちゃんは警察は……嫌、なのよね」
もう一度、深く頷く。
「本当に家出じゃないのよね?」
再びコクコクと頷く。
そこまでいうとマミさんは一度細く息を吐き、ほほ笑みを浮かべる
「わかったわ。 阿澄ちゃんさえ良ければこの部屋に泊まっていいわよ。 私も部屋が賑やかになるのは嬉しいし、その代わり学校には行くのよ」
「マミさん、ありがとうです」
「いいのよお礼なんて……えーと、ちょっと待っててくれる?」
マミさんはガラステーブルの向かい側の席に座った私に一声かけると玄関の方へと行ってしまった。
なんだか、マミさんに話したら少しだけ気持ちが軽くなった気がする。
それに、このケーキと紅茶もとても美味しいし、私マミさんと出会えて良かった。
「あすみちゃん。はい、これ」
いつの間にか戻ってきたマミさんがリングから一つ鍵を外すと私の前に差し出してきた。
「マミさん、これは? 」
「合鍵よ。 ないと不便でしょあなたにこれを上げるわ」
「い、いいんですか? 私が言うのも何ですが……私とマミさんはあったばかりなのに、少し信用し過ぎだと思いますよ」
失礼だとも思ったけれど、それだけは伝えておきたかった。
「大丈夫。 出会ったばかりのなのにあすみちゃんは私に自分の過去のことを話してくれたじゃない。それだって、相手を信用してないとできないことだと思うわ。 信用には信用で返してあげたいのよ」
マミさんはまたニコリと笑う。
「す、すみません。 鍵もらってもいいですか」
「ええ」
マミさんの方へ両手を差し出すと、マミさんは静かに鍵をその中に落としてくれた。
鍵を見つめるあすみを優しく見守っていたマミは「あら、キュウべえ」と謎の言葉を発した。
顔を上げマミさんの方へと視線を向けると白い猫のような……でも猫にしては少し耳が長い生物が
マミの近くにいた。
「マミさん。その生物なんですか? 」
思わずそう聞いてしまった。
「えーと……その……」
珍しく冷や汗を浮かべ説明に困っている様子のマミさんを見て「やっぱりいいです」と声に出そうとしたところで謎生物の方から声がした。
「僕の名前はキュウべえ」
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