始まりは突然に

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風が窓の隙間から入って来た。 運動の後に涼むちょうど良い風。しかし、とても心地よい気持ちになれる暖かい春の風だ。 真夏と言う言葉を借りると真春と表現してもいいくらいの今日。冬のように板の間が寒く、足の裏が霜焼けになる事もなく、夏のように竹刀を一回振るだけで汗が顔から流れ落ちる事も無い。まさにちょうどいいとはこの事だ。 この武道場も居心地が悪くは無い環境になっている。 「暑っ」 「それ言うな、余計暑くなる」 それでも剣道の練習をしたすぐ後には、春でも暑さを感じる今日。 今、この”和峰”と看板が入り口の上に飾ってある武道場は俺達二人しかいない状況である。 そして、練習後のため口数が少なく、風が窓から入ってくる音以外は静かに時が流れている、現状はそんな感じだ。
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