遊泳空想

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無人駅を出て、眩しく照り付ける太陽を仰ぎ見る。 暑いな。 思わず、ワイシャツの袖を捲し上げる。 涼しい風が吹いた。 木々の青葉が揺れて、向こうの向日葵畑が一斉に踊る。 何も変わってなくて、安心した。 俺はポツリポツリと家が並ぶ、一本道を歩き始める。 日射しは辛いが、風のおかげで歩くのはそこまで苦ではない。 むしろ、毎日電車通勤の運動不足の体を叱る良い機会だ。 木陰も頻繁にあるし、乾いた土を踏みしめることも出来る。 毎年、革靴で来ることを反省するのに、今日も革靴だ。 職場にスニーカーくらい持っていけば良いのに。 と、そんな事を客観的に思っていたら、向日葵畑を通り過ぎた。
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