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南部は勢いよく後ろへと飛ばされる、鈍痛。しかし目の前の光景は彼の思考に更に鈍痛を与えることとなる。
「どういうことだ」
相手の腕が、普通の人間には曲がらない方向へと直角に折れていた。しかし全く浮かばない苦悶の表情。腕がもげた人形を連想させる姿、宿らない目の光。
確かに自分はダメージを受けた、しかし相手の方がそれを上回る重篤なダメージを受けている。再び獣のように向かい来る飛び蹴り、南部の左頬を捉えんとする中、対する彼は左膝を緩く畳み体勢を落とすと同時、右足でハイキックを放つ。
互いの蹴りが交錯する。右足に感じる確かな手、いや足応えと鈍い傷み。そして相手の右足は自動車にはねられた。
「弱い、弱すぎる」
とどめの一撃を放とうと牙突の姿勢を作ると、相手の男はこの世のものとは思えない叫び声を上げ出し勢いよく地に倒れる。
「ううう、ダスゲデ……」
哀れなこの男の頭を擦り潰そうと足を持ち上げると再び現れる男のシルエット、その数三体。
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