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端から見ていた者の目には、閃光が糸状に走っているようにしか見えないだろう。切っ先の結ぶ線と長く鋭さを増したドラキュラの爪痕は水を板で遮るように、目に見えて空気を切り裂いた。
刃がドラキュラの肩口に触れたその一瞬の内の一瞬に、南部は思いきりよく刀身を引く。それにより、ドラキュラの身体は双子へと生まれ変わるはずだった、しかし現実は全くの無傷。些か疑問に思い、打ち合いの果てに更なる連撃を加えるも目に見えた外傷は皆無。
「硬いな」
その四音を発するまでに交わされた攻撃は四十をゆうに越える。
「学がないね、物を切るのに必要なのは固さじゃない、鋭さだ」
ILを知らないお前には言われたくない、そう噛み締めつつも現状は一寸のダメージも与えられないもどかしさが続く。
「水は固いかい? 文字通り考えれば、固くないだろう液体なのだから。しかし高圧の水は鋼をも切り裂く」
まぁ手刀の方が鋭いけど。そう呟かれた言葉は南部の耳へは届かなかった。
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