4人が本棚に入れています
本棚に追加
「能力や弱点は分かるか?」
「そんなもの分かるわけねーだろ。だがドラキュラと言ったら、銀で出来た十字架や聖水、木の杭を心臓に刺すだとかニンニクだとか。まぁ銀の十字架とかを持ってって帰ってきた野郎なんざ一人もいねーんだから……分かるだろ?」
その後南部はドラキュラの住んでいると言われる城の場所を聞き出し、中年男性へと酒を差し出し酒場を後にした。
いまいち攻め手に欠けるが、相手が人間を陥れるILであると判断出来る以上放っておくわけにはいかない。南部は夜城へと歩き出す。
道中、自分の行き先を察したのかああまたか、とでも言いたげな視線を幾度となく味わう。
城の周りには、手入れの行き届いた広大な庭園が広がっていた。コウモリが飛び交い、まるで監査官のようにこちらを見ている個体もいる。そんなことを全く気にも留めず堂々と庭を歩いていると、人型のシルエット。
「ふふふ、くふふ」
あまりうるさくない夜には、数メートル先から漏れる息の音さえ耳に入る。既に南部の間合いに入っている恐らく、敵。南部は右腰に据えた刀の鍔(ツバ)に手を添えた。
最初のコメントを投稿しよう!