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『声』が止んだ。
やっと。やっとだ。邪魔で邪魔で邪魔で邪魔で仕方がないあの『声』が。
「な……んで……。」
――嗚呼、まだか。まだ止んでいなかったのか。消さなきゃ。俺は一人になりたいんだ。『俺』から何も奪わせないために。
一歩、また一歩と『声』へ近づいていく。不規則に鳴る床の軋む音が不協和音の様に響き渡る。同時に履いている靴下が、床に広がる液体を吸収し、皮膚に密着してくる。歩く度「ピチャリ」と水溜まりを歩く様な音も混じってきた。
一度風邪を引いたら身体の中に抗体が出来て、同じ風邪を引きにくくなる様に。世間を騒がせた事件も時が過ぎれば風化するし、人も無関心になって行く。
それと同じ。もう俺は慣れてしまったんだろう。この行為を。この光景を。この日々を。
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