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その日、間宮真菜は普通に車を運転して買い物へと出掛けた。
ややスピードを出しているとは言え、普段通い慣れた道。
何事も無く、目的地へと到着するはず……だった。
「ん?何か対向の車、アホげにスピード出しとるな」
時々見かける、明らかに速度違反の車。
そのエンジン音の煩さと言ったら……。
睡眠中に聞こえてきた場合、怒鳴ってやりたく成る程の爆音に眉を潜めながら、真菜は対向車が速く通り抜けるのを待った。
しかし、対向車の運転手は余所見をしているのか、何故か真菜の乗る車目掛けて突っ込んで来る。
「は?何しょん、あの車。って、こっち来んなや!」
キキーッとタイヤが道路を擦る音が響く。
真菜が慌ててハンドルを切ったためだ。
それで何とか事故を回避出来る……はずだったのだ。
ハンドルを切った先がブロック塀で無ければ。
(あー、何これ。めっちゃ痛いわ。何かぼーっとしてきた。走馬灯って見んのやな……)
エアバックの衝撃と、全身を襲う痛みに、真菜の意識は徐々に薄れて行った。
間宮真菜、享年25歳。
彼氏居ない歴イコール年齢の彼女の人生は、そこで幕を下ろした。
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