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「いやああああああ!」
私はベッドから飛び起き、割れるように痛む頭を両手で抱え込んだ。ドクンドクンと脈打つ鼓動は早く、吐き気もする。無情にも止まらない涙が頬を流れ、真っ白なシーツを濡らしていく。
「……聖(ひじり)、大丈夫だ。何も怖いものなんてないよ。大丈夫だから落ち着こう」
静かに耳元で囁かれた声。
安心する、声ーー
「と……東堂さん」
俯いている顔を上げると、そこには、向き合うようにして私を見つめる三十代前半くらいの若い男性。程よいくらいに鍛え上げられた上半身からは微かに香水の匂いがする。黒い羽毛布団を膝に掛け、心配そうに私を見る。
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