《ハジマリ》

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「あ、もう大丈ーーーー」  無理に笑顔を作り、目の前にいる彼に笑った。  ーー瞬間。  ふわり、温かい体温が優しく私を包み込む。 「……え? と、東堂さん?」 (だ、だ、抱き締められた?)  突然の出来事に混乱する私を、東堂さんは更にキツく抱き締めた。それは、とても心地好く、先程までの身体の不調や不安は緩和された。 「また、怖い夢を見たのか?」  東堂さんの低い声が耳元で聞こえる。普段の彼の声とは違う、心配するような声色だった。
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