ep0.在りし日の想い出。

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「それはね、冬葉。人生で一番困ったときに使うの」 「困ったときに使うって……」 「ふふっ。曖昧すぎたね」 ばあちゃんは柔らかく微笑んだ。 「でも、それがその御守りの使い方。使えば、必ず冬葉を助けてくれる」 「うーん……。まぁ、困ったときに使うよ」 「うん。それでいいんだよ。ただし、使うときを見誤ってはいけないよ?」 「わかった」 「使い方は、巾着の中に紙に書いて入れておいたから。それを読んでね」 「説明書付きの御守りって聞いたことないよ……」 どんどん信憑性がなくなっていくような気がした。 「冬葉ぁっ! くらえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」 突如、姉ちゃんが件のばあちゃん特製水鉄砲を構えて茂みから出現。俺にぶっぱなしてきた。そしてそれは、俺の顔面に直撃。 御守りはなんとか背中に回して濡らさなかった。 ちなみにばあちゃんは一瞬で安全距離まで退避していた。 侮れない。御歳、77歳。 「こぉんのクソ姉がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「ちょっ!? 冬葉! 桶を降ろしなさい! 反則じゃない!?」 「知るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! くらえボケェェェェェェェェ!!」 「逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 「ふふっ。賑やかでいいねぇ」 チリン。と風鈴が鳴った。
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