ep1.非日常的な。

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そんな使い古された台詞を残して去ったあのバカどもの貧乏くじを引いたのがこの俺で、そんな俺は来月から高校二年生である。 と、まぁ……現実逃避を兼ねた自己紹介はこのくらいにして、現状について説明しようと思う。 一言で言おう。赤字だ。……赤字だ。大事なことなので二回言った。あれ? これじゃ二言か? まぁ、とにかく。先月まではぎりぎり黒字だったのだが、今月ついに赤字になった。不況の煽りを食らったのだろうか、固定客以外の流れの客の客足が以前より減っている。 収入としては父親が仕送りをしてくれているので生活はちゃんと成り立っている。しかし、母が旅立つときに「あ、そうそう。帰ってくるときまでにこの店が潰れていたらお前を潰すから」と、かるーくお気軽に死の宣告をしていった。そのため、俺にはこの店の命運と共に自らの生死がかかっている。 つまり、『人生で一番困ったとき』に該当するような重要案件なのだ。 だって、生き死にがかかってますからね。俺の。 と言うわけで、なんとかして客足を増やす方法を現在、深夜二時まで考えているのだ。 しかし、なかなか「これだ!」というような革新的な案が出てこない。
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