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そんなときだ。俺は5年前にばあちゃんから渡された御守りを思い出した。
それで現在に至るってわけだ。
「……使うか」
神でも仏でもすがれるものならすがりたい。
期待値は0に等しかったが、俺はあの御守りを机の引き出しから取り出した。
それは相変わらずの綺麗な若草色をしていて、5年前の記憶が脳を駆け巡る。微かに、夏とあの家の匂いがした。
「さて。なにが入っているのやら……」
俺は巾着の口を緩め、逆さまにして机の上に出してみた。
カラン。カサッ。
そんな音と共に出てきたのは1つの結晶と1枚の紙。
結晶は五角柱に五角錐をくっつけたような形…例えるなら石英みたいな形をしていた。大きさは手のひらに収まるくらいで色は黒く、透明度は0に等しい。ドス黒いと言ったほうがいいぐらいだ。なんだか禍々しく、御守りには全然見えない。
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