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「あ、ヒカルだよフウ」 ユキの言葉にフウは、はっと我に返る。 アスファルトの道路に立ってじっと空を眺めている金髪の青年がいた。 「ヒカルーっ、おっはよー」 大声で叫ぶユキに、ヒカルはこちらに顔を向ける。 が、すぐに空に視線を戻した。 「なにみてんの?」 自転車を止めてフウが尋ねると、ヒカルは黙ったまま空を指差す。 「あれ」 その仕草に、二人は同時に空を見つめる。 長い長い飛行機雲が、青い空に流れていた。
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