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初めて聞いた太郎の想い。
太郎の腕に力が入るのがわかった。
巫「…ダメだよ。 あたしの力は国を守るためにあるの。国の役に立てるなら、あたしは命なんかいらない。」
おゆきは太郎の腕をどける。
太郎はひどく悲しそうな顔をして、去っていった。
太郎の去っていった方向をいつまでも見つめるおゆき。
気づけば涙が溢れていた。
おゆきも、太郎を愛していた。
太郎の想いが嬉しかった。
太郎だけが、自分を巫女としてでなく、おゆきという人として見ていてくれたのだ。なのに、
巫「自分から手放してしまった…」
おゆきはその場に崩れ落ちた。
本当は止めに来てくれて嬉しかったの。
好きって言葉が嬉しかった。
『私も好き』とあのときどれだけ伝えたかったことか。
あなたが抱きしめてる力に負けないくらい私も抱きしめたかった。
できることなら、
巫「死にたくないよぅ…」
離れないで。そばにいて。
もう一度抱きしめて。
そしてそばでもう一度
好きだと言ってほしい。
巫女は一人、泣いて夜を過ごした。
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