1

4/19
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
さくらが16になるまで あと3週間といった ある日のことだった。 「大内さまがいらっしゃるぞ!!」 この知らせが着いたとたん、 村は早々にあわただしくなった。 さくら達の村は山間にあり、 いわば過疎に近い状態だった。 そこで商人でもある大内家が 村の作物やらを町へ行って売り、 そのお金で町のものを村に もたらしていた。 村人にしてみれば、町と自分たちを 繋いでくれる唯一の手段。 大内の機嫌を損ねてしまえば 町との繋ぎが途絶え、 いくら田畑があっても、 暮らしていくのが困難に なってしまうのだ。 大「今日は欲しいもんがあってな。」 立派な着物に身を包んだ小太りの 男が高らかに笑いながら言う。 大「わしのせがれに嫁が欲しい。 そこで、さくらを欲しいのだ。」 さ「え・・・わたくし、に ございますか?・・・・」 さくらの表情が曇る。 それは良太も同じだった。 大「他に誰がいる。 明後日迎えをよこす。それまでに支度を整えよ。お前は幸せ者じゃな。一晩にしてなに不自由ない暮らしを手に入れるのだからな。」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!