プロローグ

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地下500メートル。 一見大した数字には見えないが、実際に掘ってみるととてつもなく長い。 例えば、東京タワーやスカイツリーを考えれば分かるが、横に500メートルと縦に500メートルでは迫力が全然違う。 10メートル飛ぶのと走る違いと一緒だ。 ……ところで、何故僕がこんな話をしているかと言うと、今僕がいるこの場所が地下500メートルにある場所だからだ。 新多様生物研究所。 国家機密に作らた研究所であり、地下に住む未発見の生物を研究するために設立された。 ……だが、多様生物と言いながら研究している対象は一匹しかいない。 「端から見れば、税金の無駄使いだよなぁ……」 そう呟きながらも、机に置かれている山のような資料から一束を手に取る。 『被験生物:A01番』 発見から1ヶ月。 僕が研究者の癖に税金を気にしながらも研究を続けていけるのはこれが理由だ。 ……だが、今は莫大な費用かけながらもこの研究所を作ってくれた政府に感謝すらしたい。 神奈川県の大山で登山客が偶然発見したものだが、この実験体、なんと正真正銘の新個体なのだ。 最初はただの岩だと思ったらしいが、よく見ると緑色に光る部分があったらしい。 とはいえ、未知の生物を研究する。 つまり、研究すればするほど発見があり、驚きがある。 まるで未開拓地を開墾し、自分の物とするかのよう……。 これは研究者にとってはかなり幸福なことである。まさに研 究者冥利に尽きると言ったところだ。
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