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放課後までの時間は、いつもより長く感じられた。
それ程、俺は待ち望んでいたのだろう。
あの後すぐに海先輩からメールがあり、『大丈夫だって。ただちょっと生徒会の仕事があるらしいから屋上で先に待っててね。』と連絡が来た。
なので俺は人気の全くない静かな屋上で、先輩と生徒会長を待っていた。
「...遅いな。」
俺が屋上に来てから既に15分が経過しようとしている。
(仕事が終わらないのだろうか?)
少し、様子でも見に行こうか?
と考えていると
ギィィィィィ!
屋上の扉が音をたてながら開き、先輩と生徒会長が姿を現した。
「ごめんね、楓君。私も手伝ったんだけどなかなか終わらなくて。」
「いえ、構いませんよ。」
「...ねぇ、海。」
「何?彩乃ちゃん。」
「私に相談したい相手って...彼のこと?」
「うん、そうだけど?」
生徒会長は何ともいえない顔で俺のことを見ている。
きれいで艶のある黒髪、バランスの取れたスタイル、Dはあると思われる胸。
この外見と、更にテストで常に学年トップという知性、そして男子女子関係なく相談に乗り、力になってくれるという優しさから生徒会選挙で2位以下に圧倒的差を付けて彼女は生徒会長になった...らしい。(海先輩情報)
(だからこそのこの表情...か。)
生徒会長の表情はクラスメイト達の俺を見る時とは違うものだ。
俺を初めから悪として見ている奴等と違い、きちんと自分の目で俺を見定めようとしてくれてる。
まあ、どうしても噂は気になるみたいだが。
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