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地下牢
ぴちゃん
暗い、何もない部屋。
ぴちゃん
どこかで、水の跳ねる音が聞こえる。
ぴちゃん
それ以外は、音も、声も、何もない。
そんな所に私、四条唯歌は監禁されていた。
最初こそは助けを求める声を上げていたが、今ではもう声を上げることすら苦痛になっていた。
逆に、最初に叫んで体力を使ってしまったことを後悔した。
叫んだところで、誰も助けに来てなんかくれるわけがない。
私に...夕凪以外の仲間なんて...いない。
その夕凪も...ここにはいない。
「夕凪、無事に逃げられたかな。」
鷹峰の部下に拘束されそうになった時、夕凪だけは能力を使って逃げさせた。
私から離れることを嫌がっていたが、「私の代わりに助けを呼んできて。」と言ったら渋々行ってくれた。
私を助けてくれるような人なんて、いるわけない。
お姉ちゃんだって...こんな私を恨んでいるに違いない。
ただ、そう思っている様に見せて。
「お姉ちゃん...」
心のどこかでは、期待しているのかもしれない。
夕凪が、助けを呼んでくれると。
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