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楓side
檻をどうするか考えながらふと唯歌の方を見ると、俯いた状態で震えていた。
「おい、どうした?」
「...だ。」
「え?」
「嫌なの、お姉ちゃんに会うのが怖いの!私は...きっとお姉ちゃんの荷物でしかない!私が今会ったってお姉ちゃんは喜ばない!」
その言葉を聞いた時、俺は頭に小さい頃の自分が浮かんだ。
その目は感情を持たず、周りのものに興味など一つもない。
だが、そんな少年の目の前には...いつも一人の女性の姿があった。
だからこそ、今の唯歌の発言は聞き捨てならない。
俺は檻の中に手を伸ばし、唯歌の頭をつかんでこちらを向かせる。
「ちょっちょっと!何すんの「それはお前の本心か?」
唯歌が何かを言っていたが俺は構わずに言う。
「それが本当にお前の本心か!四条唯歌!」
「...っ!?」
「姉の荷物だ?会っても喜ばないだ?まだ“姉に会える”お前が何を1人で怯えてんだ!」
「えっ?」
唯歌が驚いた顔をしているが、今の俺には関係ない。
自分で感情を抑えることが出来ない。
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