四条唯歌救出作戦

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「.........」 少女は何も言わず、穴の空いた自分の胸を見ながら崩れ落ちた。 (...やった) マスターの言ったことは正しかった。 ちゃんと速度を"変える"事が出来た。 「あ、マスター!」 マスターに近寄ると、マスターは膝をついて苦しそうにしている。 「はあ、はあ、すまんニース。助かった。」 「...喋っちゃだめ。」 「おう。」 (早く手当てをしないと...) でも、私には治療をする技術も知識もない。 「どうしよう...」 「そこの少女!」 「...え?」 声のした方を見ると、そこには牢の中に入った唯歌さんがいた。 「この檻を何とかしてちょうだい。私が楓を治療するわ!」 「う...うん、わかった!」 私は檻に近づくと、短剣に意識を集中させる。 「……はぁ!」 私は檻の扉の鍵部分を集中的に狙う。 更に速度婉曲をし、速度を上げて切り続ける。 短剣が保つか、鍵の方が保つか。 そう思いながら切り続けていると、 ガキン! という音とともに檻の扉が開いた。 「…開いた。」 錆びていたのか、意外と早く壊すことが出来た。 「よし、よくやったわ。楓は任せて。」 唯歌さんは私の頭をぽんっとしてマスターのもとに行く。 「楓、この子の名前は?」 唯歌さんが私の方に親指を向けてマスターに尋ねる。 「ニースだ。」 「そう、じゃあニース。」 唯歌さんは顔を向けずに私に声をかける。 「…はい。」 「先に行って上にいる夕凪と…お姉ちゃんに伝えて。」 「記憶が正しければ…このままだとさっきのが後50体は襲ってくる。」
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