ステップ0・彼の理想

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  「……?」 俺が言った「スゴいヤツ」の意味が分からないらしく、円は首を傾げている。 コイツは、まるで自身の凄さに気付いちゃいないな。どんな人生を送れば、こんな真っ直ぐな性格になるんだか。 ま……それはそうとして、もう少し情報を聞き出しておくか。 面倒なヤツが来る前に。 「んで、新しい友達以外には、何か無いか?」 「ん? ん~……」 しばしの間を置いて、 「彼女とか……出来ると良いよね」 恥ずかしげに頬を赤くしながら、とんだ爆弾発言をしやがった。 「お、お前さ……マジで言ってんの?」 「こんな事、冗談で言わないよ」 マジか……。 ホント、この場にアイツがいなくて良かったな。 てゆーかさ、 「お前、どれくらい女子に好意持たれてるか知ってる?」 「知らないけど……? 普通じゃないの?」 ですよねー。 言うまでもないかもしれないが、主人公として一番必要で、一番厄介なスキルをコイツは持ってる。 超鈍感という能力を。 まずコイツは、自分の面が一種の洗脳兵器だということを自覚するべき。 道を歩けば、十人が十人振り返るんだぜ? ……こんな表現を男相手に使いたくないんだけどな。 その上、全てに万能でお人好し。 モテないと思い込む要素がどこにあるのか、誰か教えてほしいんだが。 「どうしたの、光太郎? 顔が怖いんだけど……」 おっと、俺としたことが嫉妬心を顔に出してしまっていたらしい。  
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