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「……?」
俺が言った「スゴいヤツ」の意味が分からないらしく、円は首を傾げている。
コイツは、まるで自身の凄さに気付いちゃいないな。どんな人生を送れば、こんな真っ直ぐな性格になるんだか。
ま……それはそうとして、もう少し情報を聞き出しておくか。
面倒なヤツが来る前に。
「んで、新しい友達以外には、何か無いか?」
「ん? ん~……」
しばしの間を置いて、
「彼女とか……出来ると良いよね」
恥ずかしげに頬を赤くしながら、とんだ爆弾発言をしやがった。
「お、お前さ……マジで言ってんの?」
「こんな事、冗談で言わないよ」
マジか……。
ホント、この場にアイツがいなくて良かったな。
てゆーかさ、
「お前、どれくらい女子に好意持たれてるか知ってる?」
「知らないけど……? 普通じゃないの?」
ですよねー。
言うまでもないかもしれないが、主人公として一番必要で、一番厄介なスキルをコイツは持ってる。
超鈍感という能力を。
まずコイツは、自分の面が一種の洗脳兵器だということを自覚するべき。
道を歩けば、十人が十人振り返るんだぜ?
……こんな表現を男相手に使いたくないんだけどな。
その上、全てに万能でお人好し。
モテないと思い込む要素がどこにあるのか、誰か教えてほしいんだが。
「どうしたの、光太郎? 顔が怖いんだけど……」
おっと、俺としたことが嫉妬心を顔に出してしまっていたらしい。
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