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春の終わりの午後の弛緩した空気の中、一三四(にない)ゼンジは授業も上の空でぼんやりと窓の外を眺めていた。
のどかな昼下がりの中庭といいたいが、東都防衛学院の広い芝生の中庭には、去年2025年に自衛隊を退役したばかりの155mm榴弾砲、通称FHが鎮座している。
その横にはFHの砲弾、さらには数倍巨大な戦艦長門と大和の、2m近い主砲弾まで並べて立てられている。
普通の学校ではあり得ない景色とはいうものの、うららかな陽光の下、チョウがゆっくりとFHの横を飛び過ぎるのをみていると、それなりに平和な光景といえた。鳥のさえずりに混じってかすかにディーゼル音が近づいてきている。
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