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それはどんなテロよりも残酷な響きがする計画だった。
――――不要な人間を喰らい尽くせ!!
人間が次世代の新たな《食料源》として同じ人間を間引く。
悪魔の手引書とも言えるそれは200ページにも及び、詳細に手法などが記されていた。
その中に冬威自身の成長過程を綴る様々な記録があった。
その記述内容に、初めて冬威は自分のそれまでの生活に違和感を覚えた。
自分が普通の人間として歩んできた道は果たして本当に普通なのだろうか。
自分はモルモットだったのか?
その答えはそれから半年後。
ある人間によりもたらされた。
そしてその人間がきっかけとなり、冬威は人類を恐怖に陥れる計画ごと自分を欺き続けた宗教団体を壊滅させた。
たった一人で。
カリスマと言われる由縁の一つでもある。
冬威は窓際に立って様々な光で彩られた外界の様子を眺めながら呟いた。
『‥‥‥‥綺麗だなぁ』
矛盾した生き方は人間であるが故か。
外はしんしんと粉雪が降っていた。
東京某所の超高層マンションの最上階の一室。
周防冬威が住む部屋の隣りの部屋に置かれている業務用冷凍庫内。
そこには新たに入れられた内蔵と血を抜かれて加工された新鮮な肉が、綺麗にパッケージングされて保管されている。
それらがいつものように、少しずつ冷凍されていく――――。
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