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ここは……?
俺が目を覚まし、顔をあげると辺りは濃い白に包まれていた。
いや、正確には白ではない。
少しだけ肌色が混ざっているような感じ。
にしても、ここは……なんだ?
パニックに陥らなかったのはここが、教室だろうということがわかっていたからだ。
俺が座っているのはたぶん、座り慣れた学校の椅子だ。
何かで辺りが見えないだけだろう。
そう思いながら俺は目覚める前の状況を確認する。
記憶が正しければ今は授業中。
俺は机に突っ伏して寝ていたはずだ。
先ほどまで頭があったはずの位置に手をやってみる。
そこには確かに、机の感触がある。
よかった……ここは教室だ。
俺は机の上のものを確認していく。
教科書、ノート、それに筆……ガシャンッ!
筆箱が床に叩きつけられる音がした。
けれど、この中じゃそれがどこに落ちたのかもよくわからない。
ただ、そこでそれよりもおかしなことに気がついた。
「授業中……じゃないのか?」
俺が呟く声がやけに大きく聞こえた。
周りが静かすぎるのだ。
先生の声も、生徒たちのおしゃべりも、聞こえない。
休み時間だとしても不自然だ。
この状況でだれも騒がないはずがないし。
「何がおきてるんだよっ!」
俺は立ち上がると、近くの壁をつたい、廊下へでるのだった。
ちょっとしたパニック。
なにが起きている?
おかしい……オカシイ……なにかがおかしい。
霧の中、少年は歩き出す。
誰かを探し、誰かに見つけられるために。
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