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初めてここの時間を知ったとき自分が狂ったのかと思った
もう二度と戻れないと思って死のうかとも思った
でも、帰ったとしても私には居場所はないからここで生きていこうと決意したんだ
それに、幕末には私の大好きな新選組もいるし、会いたいと願ってた人がいるし…
ここの家の人も幾宛がないなら家にくるといいって私に居場所もくれた
あの時はまだ新選組の前の壬生浪士組ができるまでにはまだ四年も時間が足りなくて
だから私はこの四年間、家の人に頼んで文字を学び、政治を学び、武術を学んだ
それで今にいたるわけなんだけど……
「しょうがない、黙って出て行くしかないよね。母上、ごめんなさい…。」
私は風呂敷に必要なものを詰め込み、母上への置き手紙を書いた
そして夜、こっそりと家を抜け出した
玄関をでてしばらく家を見つめる
きっと、もう二度と帰って来れないから。
同じ京で過ごすけれど…それでも私はもう母上に顔向けなんてできない
だから今まで育ててくれた人と過ごしてきた大切な家を、日々を忘れないようにしっかりと目に焼き付けた
「いって参ります」
私は家に向かって一礼をすると、もうできているであろう壬生浪士組の屯所に向けて足を進めた
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