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「クションッ!」
家をでてから約半刻ほどをすぎたころ、ようやく屯所がみえてきた
もう3月とはいっても、夜に外を歩いているわけだからまだかなり寒い
襟巻きがなければ外にはでられないだろう
私は寒さでかじかんでしまった手をさすりながらふと考えがよぎり立ち止まった
…この時間に訪ねたら迷惑かな……?
私が家をでたのが11時でそれから半刻ほどっているからおおよそ12時ほどだろう
どうしようか迷っていると突然強い風がふいて私は身をちぢこませた
さっむ!いいや、なんとかなるでしょ
寒さで考えるのがめんどくさくなった私は適当に自分を納得させると屯所の扉を叩いた
ドンドン!ドンドン!
「すいませーん!夜分にすいませーん!」
やはり寝ているのだろうか。誰もでてこない
私はしょうがないからと諦めようと…はせずに先程よりも強く長く扉を叩き出した
ドンドンドンドンドンドンドン……バン!
「うるっさいなぁ!誰だよこんな夜に!」
「あ、申し遅れました。私、水流優真(ツルユウマ)というものですが、近藤さんと土方さんはおられますか?」
私は怒りながら出てきた人に尋ねるとその人は眉をひそめだした
「こんな夜に近藤さんと土方さんを訪ねるって……あんた誰だよ?」
「私は京に住んでいる者です。こちらにお願いがあって参りました。」
「ふ~ん…。用件は?」
「ここの隊士になりたいと思いまして」
「…わかった。別部屋に案内するからそこで待ってて。呼んでくるから」
男はそういうと入れと促すように扉をあけ玄関へと通す
そのまま一番手前の部屋をあけると座布団を三枚おいた
「そこの座布団にすわって待ってて」
男は一枚だけおいてあるほうの座布団を指差すとそのまま出て行ってしまった
あの子かわいいな。顔もかわいいし、背も小さいし…なんか子犬みたい。絶対耳とかはえてるよ
男が立ち去ってそんな考えごとをしていると数分後、複数の足音が聞こえて姿勢を正した
気を引き締めなくちゃ…!
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