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花が添えられた果物カゴの中には
摘み取ったばかりの新鮮な林檎が所狭しと詰められていた。
編み込みで出来ているそのカゴを
少女が持ち上げようとすると
底の方が撓み、今にも林檎がはみ出してしまいそうになる。
それを防ぐために
カゴの底を片手で一生懸命に抑える。
これまた編み込みで出来た麦わら帽子を、くいっと傾けて立ち上がる。
衣類に付いた土を払う。
一仕事を終えて、沢山の汗が流れているのに気付いた。
口にまで流れ込んできたそれを
舌で一舐めする。
当たり前なその味に、首を傾げた。
木々の木漏れ日から
暖かい春を感じることができる。
巣をつくっている大人のツバメは、
鳴きながら何度も何度も森中を行き交う。
その、羽根が木の葉に当たる音に
耳を傾けながら。
少女が唄を唄い出した。
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