2人が本棚に入れています
本棚に追加
それは、少女にとって懐かしい唄だった。
どこかで耳にしたような、
よくある童謡の唄。
だが、ここにいる“人々”にはそれもまた珍しいものなのだ。
「!」
少女はいきなり後ろから服をつままれ驚き、振り向く。
「…………」
そこにいたのは
平均より低めのはずの少女より少し小さい少女。
少女の服を掴んだまま、
無言を貫き通していた。
髪は少年のそれのようで、
カゴを持った少女の美しく神々しさすら感じる髪とは
全然違うものだった。
光が灯っていない、
そんな瞳が見上げてくる。
「……」
少女は、この森での“言語”
で喋り出した。
最初のコメントを投稿しよう!