物語

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それは、少女にとって懐かしい唄だった。 どこかで耳にしたような、 よくある童謡の唄。 だが、ここにいる“人々”にはそれもまた珍しいものなのだ。 「!」 少女はいきなり後ろから服をつままれ驚き、振り向く。 「…………」 そこにいたのは 平均より低めのはずの少女より少し小さい少女。 少女の服を掴んだまま、 無言を貫き通していた。 髪は少年のそれのようで、 カゴを持った少女の美しく神々しさすら感じる髪とは 全然違うものだった。 光が灯っていない、 そんな瞳が見上げてくる。 「……」 少女は、この森での“言語” で喋り出した。
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