初恋

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やがて月が照らし始める。 今夜は満月のようだ。たわいもない話をしながら歩いている時だった。 いきなり一匹の犬が海人めがけて飛びかかってきた。 「イッ~………」 まさに一瞬だった。 海人は右腕を握りしめて、縮こまった。血がポタポタと落ちる。 「海人…………」 四宮が海人から犬を遠ざけようとするも、獲物を見据えた野良犬は、ウゥ~ゥ~と低く唸って、海人を狙って、再び飛びかかろうとする。 「サリー………」 「ワン……」 声が聞こえた瞬間犬は飼い主であろう元へ、かけていった。 「海人立てる?腕見せて……」 「大丈夫………大丈夫だから」 海人の顔は月の光に照らされ、青ざめているのが判る。 「家で手当てしていこう……」 「大丈夫………」 「海人…」 差し出す四宮の腕を振り払うと、海人は四宮の呼ぶ声を無視し、走って行ってしまった。
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