初恋

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「腕出して消毒するから」 海人は何も言わずそれに従った。 「少し沁みるけど、我慢して、傷口がこれじゃあ血が固まって見えないから、洗い流しますよ」 「うん…」 消毒液で血を洗い流すと傷口がはっきりとしてくる。 それほど深くないようで、四宮は安心する。 手慣れた手つきで処置を施し、クルクルと包帯を巻いた。 「これでよし…」 「ありがとう………」 海人が小さくそう言った。 「馬鹿なんだから全く……熱はない?」 「うん」 コツンとおでこをくっ付けると海人の顔が赤く染まる。 思わず口づけたい衝動にかられた。 瞬間、9時を告げる時計の音に邪魔された。
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