0人が本棚に入れています
本棚に追加
「腕出して消毒するから」
海人は何も言わずそれに従った。
「少し沁みるけど、我慢して、傷口がこれじゃあ血が固まって見えないから、洗い流しますよ」
「うん…」
消毒液で血を洗い流すと傷口がはっきりとしてくる。
それほど深くないようで、四宮は安心する。
手慣れた手つきで処置を施し、クルクルと包帯を巻いた。
「これでよし…」
「ありがとう………」
海人が小さくそう言った。
「馬鹿なんだから全く……熱はない?」
「うん」
コツンとおでこをくっ付けると海人の顔が赤く染まる。
思わず口づけたい衝動にかられた。
瞬間、9時を告げる時計の音に邪魔された。
最初のコメントを投稿しよう!