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………………
「この人の身体どうなってるんだろう。そろそろおかしくなってもいいのに。
いや、おかしくなってもらっても悲しいけどさ。
だって頭相当打ってるよ?なのにたんこぶで済むって。頭の骨だけ異常に強いのかな。」
「先生、呑気なこと言ってないでくださいよ。楓さんは本当に無事なんですか?」
「だから大丈夫だって言ってるじゃない。検査もしたけど全く問題なし。本当に解剖してみたいくらいだよ。」
「先生っ!」
…………ん?
なんだか私の頭の周りでうるさい声がする。
身体を起こそうとしたけど後頭部に激痛が走ってそれができない。
「うっ。」
思わずその痛みに呻くと、その二つの気配が動いてこちらを見るのが分かった。
恐る恐る目を開けると。
「楓さん!目が覚めましたか?!」
「………陽一さん?」
「はい!俺です!」
「に、先生?私どうしたんでしたっけ。」
「………通算三度目の頭を強打したんだよ。で、三度目もほぼ無傷。外傷は当たり前だけどね。」
「げ。通りで頭がすごく痛い訳だ。」
〟三度目〝という言葉は引っかかったが、痛みでそんなことどうでもよかった。
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