もしもシリーズ1

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せっかく出歩いたのだからどこか散歩でも行こうかと院内をうろうろしていると、気がつけば小児科に来ていた。 ちまちました可愛い子供たちが風邪なのか顔を赤くさせていたり、中には痛々しいギプスをはめている子もいた。 その子たちを見ながら、自分もいつか子供を産むんだろうかと思った。 でも陽一さんが病気なら、もしかしたらそれも叶わないかもしれないとも思う。 ううん。 子供は別にいい。 あんなにも私を愛してくれる陽一さんがいれば、それだけでいい。 やっぱり早く戻ろうと思った時。 「くまちゃんが!」 「え?ちょっと、あぶないわよユキちゃん。ユキちゃんっ?!キャー!」 「っ?!」 母親とその娘の会話が聞こえていたと思っていたらいきなり母親の悲鳴。 驚いて振り返ると、階段から落としたクマのぬいぐるみをとろうとした娘が階段から落ちる瞬間だった。 あとはもう本能的に動いてた。 階段下にいた私は落ちてくる子供を急いで駆け寄って受け止めた。 そこまでは良かったのだけど、流石に院内生活ばかりだった私の体力と筋力は落ちていて、 いつもなら踏ん張れる所を踏ん張れず後ろに反動で吹っ飛ばされてしまった。 ――――――ゴンッ! ものすごい音にまた聞こえる悲鳴と、腕の中にいる温かくて小さなぬくもりを感じながら私は意識を手放した。 .
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