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頬に涙を描いたピエロ
マリオネットはまだ上手く操れないようで
ばたりばたりと倒してばかり
気がつけば細い糸が
僕の関節すべてに繋がれて
あらぬ方向いったりきたり
よろけて倒れる僕を見て
観客席はどっと沸く
流さぬまま飲み込んだ涙は
頬の上で再結晶
新しい見世物ピエロここに誕生
吊り下げられた無様な格好
極彩色の洪水 晴らせ鬱憤
舞台には欲望の塊が肉薄
真上から降ってくる言葉たち
コツンコツンとぶつかるもんで
見上げれば支配者ぶった道化師サマサマ
歪んだメイクが目に入る
嘲るピエロを追い払おうと
延ばした手に咲く金盞花
花芯に真っ赤な口が裂け
犬歯を見せてゲラゲラ ゲラゲラ
いきなりぽいと放られて
糸にからまり からまわり
どうやら新しい演目のスタート
腕の金盞花は枯れていた
鋭利な言葉でジャグリング
観客が望むのは技より失敗
取りこぼして足に刺さるのを待っている
優越感に浸り酩酊
そうして上から眺めていればいい
次の瞬間自分が舞台に立っている可能性も知らないで
誰しも理解しようとしない
誰しも考えようとはしない
誰しも思いつきなどしない
誰しも自分の世界にいるのさ
前提条件の不条理
道化に撤して孤独な笑劇
ピエロの泣き顔には気づかなかったのだろう
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