第一話~本能寺の変~

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兵士達の飛び交う怒号により、最後の方は聞き取れなかったが、大体の事は把握出来た。 やはりそうか……。 これで辻褄が合う…。 つまり秀吉と光秀は信長を殺すつもりで中国 遠征への連合を頼んだのだと……。 そして信長が手勢を率いて出陣したところで 後から来た光秀軍と挟み撃ちにするつもり だったのだと…。 しかし自分が本能寺にしばらく滞在するのを 知り、光秀に単独で奇襲させたのだと。 あのハゲ鼠の事だ。 今頃は中国地方にいるふりをして播磨(現在 の兵庫県)辺りにでも潜んでいるのだろう。 こうなったら天下はこの者らの手中に治まるのだろうな。 そんな考えが信長に浮かんだ。 同じ京都市中にはもう一人天下の傑物がい た。 駿府の大名であり同盟関係に当たる徳川家康 である。 天下人に近いとされる二大名を一度に葬りさ れるまたとないチャンスなのだ。 この、まるで仕組まれたかのような展開に信長は可笑しくなった。 「はははは!ほんに可笑しいのう光秀!よかろう、ならばこの素っ首取って見せよ!」 信長が光秀目掛け弓を引き絞る。キリキリと信長の怒りの叫びの様な音が響く。
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