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兵士達の飛び交う怒号により、最後の方は聞き取れなかったが、大体の事は把握出来た。
やはりそうか……。
これで辻褄が合う…。
つまり秀吉と光秀は信長を殺すつもりで中国 遠征への連合を頼んだのだと……。
そして信長が手勢を率いて出陣したところで 後から来た光秀軍と挟み撃ちにするつもり だったのだと…。
しかし自分が本能寺にしばらく滞在するのを 知り、光秀に単独で奇襲させたのだと。
あのハゲ鼠の事だ。 今頃は中国地方にいるふりをして播磨(現在 の兵庫県)辺りにでも潜んでいるのだろう。
こうなったら天下はこの者らの手中に治まるのだろうな。
そんな考えが信長に浮かんだ。
同じ京都市中にはもう一人天下の傑物がい た。
駿府の大名であり同盟関係に当たる徳川家康 である。
天下人に近いとされる二大名を一度に葬りさ れるまたとないチャンスなのだ。
この、まるで仕組まれたかのような展開に信長は可笑しくなった。
「はははは!ほんに可笑しいのう光秀!よかろう、ならばこの素っ首取って見せよ!」 信長が光秀目掛け弓を引き絞る。キリキリと信長の怒りの叫びの様な音が響く。
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