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本能寺が紅蓮の炎に包まれている。
日が昇る頃には焼け落ちているだろう。
自身も火傷を追いながらも何とか本能寺から脱した慶次は信長と蘭丸の証を胸 に抱えていた。
「松風、これからが勝負だ。」
急いで黒装束から足軽が着るような寂れた鎧に着替える。 敵の目を誤魔化すためだ。
そして愛馬である松風の鬣を撫でるとその上に乗り颯爽とその場を離れた。
目的地は尾張の国・清洲だ。
京から清洲迄はどんなに馬を飛ばしても数日は掛かる。
だから休む暇等はない。
休んだところで敵に見付かるという事もあるし、首の腐敗も心配だった。
出来るなら綺麗な内に土へと還してやりたい。
それが慶次の願いだった。
その想いが通じてか愛馬の松風は物凄い速さで駆け抜け、予定よりも早く清洲 へと着いたのである。
この間、たとえ敵に見つかったとしても松風に追い付くのは不可能だろう。 そう思える程の速さであった。
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