第二話~日ノ本一のうつけ者

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男と少年を乗せた馬は城下を抜け山道を走って行く。 男の方は駆け抜ける風を颯爽と受け涼しげな表情を浮かべているが少年の方は そうはいかない。 突然馬に乗せられ何処かへ連れ去られているのだから当然である。それを知っ てか知らずか男が尋ねる。「お前、名前は何と申す?」また怒鳴られたらた まったもんじゃないと子供ながらに思ったのだろう。少年はすぐに答えた。 「そ、宗兵衛……。」 「で、あるか。」それだけ言うとまた黙々と馬を走らせた。 しばらく経つと道が拓けて来た。 それと同時に馬が速度を落としゆっくりと歩く。目的地に着いたのだろう。 馬を止めると、男が少年を抱き抱えるようにして馬上から下ろす。そして自分 も馬から降りると道端にある木に馬を繋ぎ止めた。 「ついて参れ。」歩き出した男の後を追うように少年は付いて行く。 しばらく進むと高台らしき場所が見えて来た。 「着いたぞ。」高台の先に立ち、少年の方を向くと手招きする。 少年が男の方を向かうと、その眼前には言葉を失う程の素晴らしい景色があっ た。 「わあ……。」少年は目をキラキラさせながら目の前の景色に魅入る。 大自然が広がるその景色、遠くには清洲の城と城下町、そして田畑が見える。
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