第一話~本能寺の変~

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この事に対して信長は、自分が出陣したから光秀も無理をしてでも出陣しなければ自分の首 が飛ぶだろうと思ったのだろう、くらいにしか思っていなかった。 しかしその事が自分の命を奪う事になろうとは露ほども思わずに本能寺での最期の夜を過ごしていた。 同寺の奥の間にて酒を飲みながら部下からの 書状を読んでいた信長。 近くには森蘭丸、力丸、坊丸らの小姓が控え ていた。 シーンと静まりかえっている室内、周りを照らす蝋燭がゆらゆらと揺れていた。 このままゆっくりと夜が更けてまた新しい一日が始まる、この場にいる誰もがそう感じて いた矢先、外から喚き声が聞こえた。 急に響くその声にさしもの信長も驚いたのだろう。 ピクリと身体を揺らす。 ただの喧嘩か……そう思って放って置こうと したが、次に鉄砲が撃ち込まれ事の重大さに 気付いた。 「蘭、調べて参れ」 その声に蘭丸は素早く立ち上がり部屋を出て行った。
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