勇者がイケメンって設定はどこから生まれたのだろうか

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場面は戻って再びドナルド対アンヴァル。 アンヴァルは自分の魔力を解放して、本気の力でドナルドと戦っている。 そのドナルドなのだが――まだ表情に笑みが溢れている。余裕の表れなのだろうか。 実際、邪帝は自分がドナルドとして戦いに赴く時、勝利を確信していた。 自分の知る限りドナルドを倒せるような存在は数えられる程度しかいないことを知っているからだ。 故に上級天使など本気を出せば、極端な話ハンバーガーをひとつ投げ込むだけでゲームエンドに持ち込める。 「動きは素早いが、ついて行けない訳ではない。無駄な攻撃を抑え、必要最低限の攻撃で勝負を制する!」 自分にそう言い聞かせながら迫りくるアンヴァルの斬撃をステップで避け続ける。 戦況はドナルドが守りに徹するようになっていた。 最初こそ技の出し合いで盛り上がりを見せたが、邪帝は真司からの作戦を完遂させるべく、僅かな隙をついて仲間にさせるという行動に切り替えたのだ。 観客からも「さっきの勢いはどうした!」等と怒りの声が聞こえるようになってきた。 一部の人は華のない試合を見る価値もなく、ミョン達の試合に移っていく者もいる。 しかしコレは逆に好都合だ。 相手の使い魔を自分の物にして終わるという呆気ない結末を見なくてすむからだ。 激しく火花の散る試合を見たいならミョンのところへ行けばいい。 こちらは相手の使い魔の買収。見ても誰も得をしないであろう試合だからだ。
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