Boy In The Girl

2/3
前へ
/290ページ
次へ
季節は夏から秋へと変わり目を迎える。俺はそんな中で夏の日の思い出に浸っていた。 「あれからもう約二ヶ月かぁ。野球も引退して、一目惚れの女の子にフラれて。あげくには恋のキューピッドって。これじゃピエロだよな」 俺はベッドに仰向けになりながらそんな独り言を呟く。 そういえば自己紹介が遅れたな。俺の名前は横山 和輝(ヨコヤマ カズキ)。 光陽学院に在籍している元・高校球児だ。ここで一つ昔話をしよう。 俺はついこの間まで人生の別れ道と言っても過言ではない勝負をしていた。 その内容とは異性を賭けた野球対決。端から見たらバカとしか思えないだろうが、そんな客観的な意見はクソ食らえだな。 なぜなら人間一目惚れって本当にあるんだなって思ったからさ。 俺は今まで一目惚れなんて信じてなかった。だってそうだろ? 初めて見たら好きになるなんて考えられないじゃん。でもさ……。 「理恵ちゃん……泣かしたら承知しねぇからな」 現在進行形で絶賛片思い中な訳なんですよ。叶わない恋だって分かってるんだけど、どうも踏ん切りがつかなくて。 あっ! ちなみに理恵ちゃんは彼氏とラブラブしてますよ。 その相手ってのが俺との勝負に勝った奴で、名前は真田って言うんだ。 まぁ、あっちはあっちで色々と大変だったみたいなんだけど。 でも好きな人が幸せなら俺はそれで構わないって思う。
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!

227人が本棚に入れています
本棚に追加