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「なん、だた、あるか?」
虚無の光を湛えた瞳で、自分以外の人物のそれを見つめる。
「僕が、王君を好きだって言った事なんだけど」
あぁ、と言うが、実はあまり理解できていない。
「そのこと、あるな。我が好きなヤツは・・・あれ、お前、誰だったか、覚えてるあるか?」
記憶の混乱。
それを、イヴァンが利用しないはずは無かった。
普段からあれだけ「菊、菊」と言っていたそのことを封じる手段としても。
「いやだなぁ、君が好きなのは僕だよ。イヴァン・ブラギンスキ。ね?王耀君」
「そう、だったあるか?じゃぁ、イヴァン。我はなぜ、恋人のお前に閉じ込められてるあるか?」
「それはね、君が僕を裏切ろうとしたからお仕置き」
うふふ♪と、嘘を重ねるイヴァン。
「裏切る?我が、お前を?」
「うん。だからね?ごめんなさいって謝ってくれたら、ここから出すからね」
「・・・わかたある。・・・よくわかんねー所もなくはねーあるが、すまなかたあるな」
ぺこりと頭を下げる王。
こんな素直に謝罪する王は初めてだった。
「うん、じゃぁ、忘れないでね。君は『僕の彼氏』、なんだからね?」
・・・そんなに念押しされるほどの事を我はしたあるか・・・と、王は呟きながらもイヴァンの後を付いて、部屋から出た。
もう、使わないようにとイヴァンが思っていたことは誰も知らない。
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