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どこまでも続きそうな白い部屋に一人と机、ポツンと取ってつけたような扉が一つ。
一人の顔は全体的に言えば普通。目に大きな隈ができている事を除けば、の話だが。
その少年とも青年ともとれる顔をした少年は、机からおもむろに立ち上がり、ふと自室の大きな窓から空を見下げる。
嗚呼、なんてどうして雲は自由なんだろう、空はどうしてあんなに蒼いんだろう。
下界の人間はこんなにも不便な生活を送っているのに、同じ下界に存在するはずの雲と空は仲良く自由に漂っている。
俺と兄貴にもあんな時期があったなあ……仲良くゲームしたりしてな。
もう一回出来ないかな?
そう思っても、どうにもできないものはどうにもできない。
力が無いから、対話ができないから、そしてなにより――
「あー、仕事なんかやめて、ゆっくり嫁パの厳選でもしよwwww」
――馬鹿だから。
彼は――彼等はまだ知らない。
この馬鹿のこの一言が、とある少年の運命を大きく捻じ曲げる事を。
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