660人が本棚に入れています
本棚に追加
どうやら気を取り直したらしいミーアは、窓ガラスを使って髪に寝癖がついて無いかチェックし始めた。
すると、また「あ」と口から洩らし今度はそのままの体勢で話し出した。
「そういえばさ……」
「今度は一体何なんだよ?」
「アレクのベッドって加齢臭がするの?」
ゴッ!!
「……びっくりした~。何してるの? 急に壁に頭打ち付けて」
「お前……何でそれを……」
「え? 嘘? 本当に加齢臭が……」
「違う! 俺まだ十六だぞ!」
「ぷ……うん、あはは。そんな怒らないでよ~」
「いや、別に怒っては無いけど……もしかして、昨日の聞こえてたか?」
「うん、私も課題やってたから。やっぱりジンおじさんは面白いね~。夜だから、笑いを堪えるのが大変だったよ」
「その夜に隣に聞こえるくらい馬鹿でかい声出したのはおじさんだけどな……」
こんな感じで暫く俺とミーアは談笑を続け、調度学校でどんな魔法を覚えたいかについて話している時に、またも壁が視界に入った。
王都へ入る時に見た壁とは違い、石を積み上げて作ってあるそれからは時代を感じる。
考えてみると、魔族との共存が決まった当初から存在する壁なので当たり前か。
「あれ? もう着いたのかな?」
「そうみたいだ。降りる準備しとこう」
降りる準備……と言っても荷物はトランク一つだ。
このトランクは空間魔法が掛けられているマジックアイテムだから、体積を無視して荷物を詰め込める。
その分、トランクが重く……何て事も無い。
俺が空間魔法何て超高度な魔法使える筈がないので、もちろんこれは既製品だ。
トランクを持ち、後方に流れて行く石で出来た壁を眺めながらしばし待つ。
すると、開かれた巨大で荘厳な門が見えてきた。
その門の中へと入って行く俺やミーアと同じ制服を来た少年少女達。
門の前では、沢山の馬車が出たり入ったりを繰り返していた。
最初のコメントを投稿しよう!