第一章 ある魔法使いの入学式

15/16
660人が本棚に入れています
本棚に追加
/158ページ
「オズ・オブライエン!」 「は、はい!」 アルフレッドに気を取られていると、いつの間にか特別学級の上位四十名全ての名前が呼ばれ終わっていた。 ……ん? あいつ魔族じゃ無いな……瞳が青い。でも、オブライエン? そんな貴族いたか? 最後に呼ばれた男子生徒の名前に聞き覚えが無い。 騎士でも聞かない……となると、俺が知らないだけか、それとも普通の家庭から特別学級に入る事が出来たか。 顔に見覚えが無いかとよく見てみると、オズ・オブライエンは今朝門に入れなかった俺に一番最初に話し掛けて来た男子生徒だった。 軽く驚きつつも、彼の様子から恐らく後者だろうと予想を立てる。 彼は、今にも跳び跳ねんばかりに喜んでいた。 彼が普通の家庭生まれだとすると、これは珍しい。幼い頃から英才教育を受けている貴族や騎士の子に競り勝ったのだ。 きっと、生半可では無い努力を積んで来たのだろう。 オズ・オブライエンから視線を反らし、ふと周りを見てみると上位四十名に入れる自信があったのか悔しがっている生徒が何人かいる。 多分、今悔しがっている生徒は騎士志望だ。 特別学級を卒業すると騎士になれる確率が高い。だから騎士を目指す奴らは、大体特別学級を目指しているのだ。 だが、頑張りしだいでは普通に卒業しても騎士になる事が出来る。 ハンデがあるのでその分大変だが、今悔しがっていると言うことは、きっと騎士を諦めないと言うことなのだろう。 「以上、四十名が特別学級の生徒です。では、着席を──」 「……?」 何かが、先生の視界を遮り、言葉を中断させた。 何も無い空間からいきなり現れたそれは、一枚の紙。 この場にいる全員の注意が集中した紙は、ひらひらと音も無く壇上に落ち、先生に拾い上げられた。 先生の視線が紙の中央を凝視している。……どうやら、何か書いてある様だ。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!